ホーム 既刊本 ご注文 葦の葉通信 会社概要 自費出版 お問合せ HP

 

 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: C:\Users\Y.Hisamoto\Documents\My Web Sites\ashi.jpg

 

 

www.ashi-jp.com

 

移転のお知らせ

下記に移転しました。

815-0075

福岡市南区長丘2−14−16−202

TEL/FAX  092-408-7338

 

葦の葉通信

 

21 2016/11/17

アメリカ国民は消耗品

 

20 2016/10/16

阿蘇噴火と日本の国防

 

19 2016/9/15

不可解な事ども

1 地震・豪雨

2 多発する黒人射殺事件

3 HAARPの発動

4 長崎養生所

 

18 2016/8/15

過激派テロの正体

10億円の解決金(8/16)

 

 

17 2016/6/21

1舛添問題の「違法性」

2プログラミングと異常気象

3人工知能の衝撃

16号 2016/5/20

東住吉小6女児焼死事件

 

15号 2016/4/18

1 禁教期を焦点化したキリスト教関連遺産の狙い

2 日本語と朝鮮語

● 九国博の変化

● 熊本地震

 

142016/3/16

1遺体が語る真実

2サイバーセキュリティ

 

13号 2016/2/27

1北朝鮮の核実験と日本

2北朝鮮のミサイル

 

黄金のアフガニスタン展

12  2016/1/26

日韓合意の不可逆性

 

謹賀新年

11号 2015/12/26

年末の外相訪韓

 

10号 2015/11/30

1 イスラム教とカリフ

2 中韓の相似と相違

 

 9号 2015/10/24

ノーベル賞と世界大学ランキング

ユネスコの存在意義

朝貢外交の今昔

 

 8号 15/9/22

1 広開土王碑文

2 縄文土器と埴輪

3 タイ爆破事件の深層

4 安保法と憲法

 

7号 15/8/30
1 70年談話の意義
2 五輪エンブレム騒動 
 追記 9/1
3 自衛隊肉弾盾作戦

6号 15/7/28

1 深まる韓尊日卑 
2 アジアは広い! 
3 ザハ案採用の謎
4 明治産業革命遺産

 

5号 15/6/15
1安保法案と日本の防衛
2 MARS
韓国と従軍慰安婦

 

4 15/6/3
国防

1 構造改革とIT 
2 TRON
と日本のIT教育
3
プログラミング教育
4 新安保法案
5
大阪都構想のペテン

 

3 15/4/16
沖縄と福島原発
1百済展と歴史の真相
2高麗は日本をモデルにした
3スタップ細胞捏造事件

2号 15/3/10
1政治とカネ 
2
移民と日本の戦争責任
3
戦場の真実と未来への提言

1号 15/2/5
歴史の纂奪
 ―百済から通信史

サイト移転のお知らせ
15/2/5

 

 

 

 

 

吉田調書の真実

原発事故と巨大地震の正体

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

葦の葉通信21号  2016/11/17葦の葉通信17号 2016/6/21

説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: C:\Users\Y.Hisamoto\Documents\My Web Sites\twitter.png  説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: 説明: C:\Users\Y.Hisamoto\Documents\My Web Sites\facebook.png

 久本福子YOSHIKO HISAMOTO

 

アメリカ国民は消耗品

 

 

 トランプ大統領誕生で、世界中に衝撃が走っていますが、今回のアメリカ大統領選は、グローバル化がもたらしたアメリカ国内におけるひずみの深刻さを、激烈な形で顕在化させたといえそうです。かつてのアメリカならありえなかった「社会主義的」な政策を掲げ、民主党内の大統領候補選びでクリントン氏に猛追したサンダース候補の存在もさることながら、アメリカのほとんどのマスコミがこぞってクリントン氏支持を表明、著名なアーチストの多くもクリントン氏支持を表明したばかりか、共和党の有力議員までもがクリント氏支持を表明するという異様な状況下で、誰もが予想しなかったトランプ氏勝利という結果になったということは、トランプ氏に救いを求める以外に生き得る道はないと思い定めていた人々が、想定以上に存在していることを示しています。

 

 粗野で乱暴な言動を振りまいてあらゆる方面から激しく叩かれることで、逆にマスコミの話題になるという戦法を駆使して、勝利を勝ち取ったという分析もあり、そういう見方もあるのかと驚かされますが、アメリカ国内のみならず世界中で誰もが予想もしなかったこの大逆転は、選挙戦術だけでは解けない問題を孕んでいるのではないか思います。

 

 アメリカの深刻な格差問題は、これまでも一部のマスコミや出版物を通して明らかにされてきてはいますが、今回の選挙結果は、世界中が大注目する大統領選挙を通して、いわばアメリカ国家自らが、アメリカ建国以来、かつて経験したことのないほどの深刻な格差、生活に困窮している層が多数存在していることを明らかにしたといえるのではないか。それほどまでに、アメリカ社会が抱える病巣は深刻だということではないかと思います。しかも皮肉なことには、共和党主流派からは総スカンを喰らっていたとはいえ、貧困にあえぐ人々が、自由競争を最高の価値とし、国民には自己責任を求めてきた共和党のトランプ氏に救いを求めざるをえなかったところに、アメリカが抱える問題の深刻さが、より鮮明に映し出されているのではないかと思われます。

 

 アメリカの国力は衰えたとはいえ、今なお世界最大の経済規模を持ち、世界経済はアメリカなしには成り立ないというのも事実です。この事実から、我々はアメリカ国内に潜む貧困や格差の深刻さを実態として認識することはほとんどないというのも確かです。

 

 

 

既刊本

 

 

 しかしアメリカ社会の格差の深刻さは、知的上層部にまで及んでいるのではないかというのが、今年のノーベル賞物理学賞受賞者の経歴を見ての、わたしの感想です。物理学賞は3人のアメリカ人学者が受賞していますが、全員英国出身で、英国の大学を出ています。これは、アメリカ社会を象徴しているのではないか。化学賞は蘭仏米3カ国の学者が受賞していますが、このアメリカ人学者も確か、フィンランドかどこかの欧州出身者です。日本人以外のノーベル賞受賞者の詳しい経歴はネットでも探すのが困難ですが、文学賞を受賞したボブ・ディラン以外のアメリカ人学者は全員、欧州出身者であるとことは間違いありません。

 

 アメリカ建国以来、どこの国の人であれ、非常に優秀な人物、学者は、どんどんアメリカの大学に迎えらますので、おそらくこれまでのアメリカ人ノーベル賞受賞者の中にも他国出身者も含まれていたかもしれません。わたしはこれまで、日本人受賞者以外にはほとんど関心がありませんでしたので断定はできませんが、同時受賞のアメリカ人科学系受賞者全員が他国出身者というのは、ほとんど例がないのではないかと想像いたします。

 

 アメリカは官民こぞって海外からも優秀な人材を金に糸目を付けずに招き、アメリカの国力増強を図ってきました。これは、基礎教育は他国に任せ、その教育の成果だけを手にしようという非常に効率的な手法ですが、この手法を可能にしてきたのも、他国にはマネのできないアメリカの実力であり、魅力でした。その際、当然のことながら優秀なアメリカ人学者や研究者たちも、海外勢と競争しつつ、双方の実力を高めてきたというのがこれまでのアメリカ社会における研究環境であったのではないかと思います。

 

 しかし今やアメリカの教育環境は、格差問題をモロに受け、激変しているとの報告も種々目にします。その悪影響は初等教育はもとより、大学にまで及んでいるとの報告もありました。一言でいえば、アメリカ人にとっては、正規の教育を受ける環境が破壊されているということです。ノーベル賞は数十年にも及ぶ長期に渡る研究を対象にしていますので、今年の3人の物理学賞受賞者は、必ずしも現在のアメリカを直接的には反映しているとはいえないかもしれませんが、近未来のアメリカを象徴しているのは確かだろうと思われます。

 

 とはいえ、アメリカはもともと移民社会なので、出身を問うことは全く無意味だとの指摘もあるかもしれません。しかし、幾世代かに渡ってアメリカで暮らしてきたアメリカ人にとっては、明日をも知れぬ環境下で生活せざるをえない状況を、黙して甘受することなどできるはずはありません。事実、アメリカでは自殺者が急増しているという。中でも男性の自殺者の急増が際立っているという。こういう場合、例えば日本では、当然のことながら、政府に対策を求める声が高まり、政府も救済に動きますが、アメリカでは民間のボランティア団体などが救済に動いても、どの党の政権であれ、アメリカ政府が直接救済に動くことはほとんどありません。また国民の中からも、救済を求める声は上がってきません。底辺に落ちたアメリカ国民は、自己責任で放置され、ほとんど公的扶助を受けることなく、この世を旅立たざるをえないわけです。

 

 その欠損は次から次へと押し寄せる新たな移民が埋めていきますので、人口減少も発生しないとはいえ、現在のアメリカはかつて経験したことのない規模と頻度で、社会を構成する国民の新陳代謝が非常に激しく行われている状況にあるといっても過言ではないと思われます。新陳代謝が活発であればあるほど、一般の生命体はもとより、国家も総体としては活性化されるはずです。日本の一般マスコミは、格差拡大がもたらしたアメリカの暗部については、その実態を具体的にはほとんど報道しませんので、我々は、活性化された表層部分のアメリカしか知ることができずにいますが、古くからいるアメリカ国民は、新陳代謝で体内の老廃物が体外に排出されるごとく、社会から排除されてしまっているといえるのではないか。アメリカでは、国民ですら使い棄ての消費財のごとき扱いを受けているといっても過言ではないはずです。

 

 トランプ次期大統領は、こうしたいわば使い棄てにされた旧来のアメリカ国民の支持を得て誕生したわけですが、彼らの悲痛な思いに応える道を切り拓くことは至難の業ではないかと思われます。当選後のトランプ氏は、選挙中の粗野で乱暴で非常識な言動は鳴りを潜め、現実路線に転換するのではないかとも言われていますが、ロシアを含め、どこの国とも対等な関係を築きたいとも表明し、プーチン大統領とも親しく電話で会談したことも報じられています。口先だけではなく、実際にこの外交政策が実行に移されれば、歴代のアメリカ大統領とは全く異質な大統領の誕生となるわけですが、思想信条を問わず、誰とでも取引をして利益を上げたいという、いかにも実業家らしい実利主義の実践者ともいえそうです。

 

 トランプ氏のこの実利主義に対しては、理念の喪失だと批判する声もあるようですが、冷戦構造が崩壊して久しく、共産党独裁下で資本主義的経済政策を推し進めている中国がアメリカに次ぐGDP世界2位の経済大国になった現在、自由や人権というアメリカ的理念だけでは、世界経済の維持はほとんど不可能になっています。事実、中国は経済成長を遂げる一方、言論統制はむしろ強化され、人権弾圧も続いていますが、アメリカ政府は、その国是ともいうべき理念に立ち、中国を正面から批判することはできずにいます。世界一の規模を誇るアメリカも、中国なしには経済が成り立たなくなっているからです。グローバル化が進み、日本も含め、世界中が互いが互いに依存し合う関係になっており、簡単には相手を排除することが不可能になっています。

 

 こうした世界情勢を見るならば、実利主義に徹したトランプ氏の外交政策も、時代にふさわしいのではないかとも思えてきます。実利主義とはいえ、相手に損害を与えて自分だけが利益を得るという商売は成り立ちません。相手も利益を得るのでなければ商行為は成り立ちませんし、関係の持続は不可能です。国と国との関係も同様です。一方的に相手から利益を得るのは収奪、強奪、侵略であり、正常な関係とはいえません。互いにウイン、ウインの対等な関係によって初めて、お互いの国の繁栄が可能になるはずです。逆もまた真なり。韓国のように、日本に様々な領域での無償援助を求めつづけ、それに応えた日本政府の国益毀損政策の結果、一時、日本の製造業までもが壊滅寸前にまで至ったことは、その例だといえます。

 

 かつての植民地時代では、先進国が一方的に後進国の資源を収奪することで、繁栄を謳歌してきましたが、現在はそうした一方的な収奪での繁栄は不可能な時代であり、互いに繁栄することによって世界経済の維持も可能な時代へと変化しています。日本はこうした時代に即応した政策を進めてきました。北東アジア、東南アジア各国への絶えざる支援は、後進地域の経済発展を促し、今や世界経済の巨大市場へと変貌しています。アジア地域は、中東やアフリカのような地域紛争が発生しないのも大きな特徴ですが、これも経済発展を背景にした民生の安定ゆえのことだろうと思います。   

 

 欧米は積極的に移民を受け入れるが、日本は移民受け入れに消極的だと頻繁に世界中から非難を浴びてきましたが、日本は、後進国が移民をせずとも自国で生活できるような根本的な後進国支援を延々と続けてきました。翻って欧米を見ると、例えば欧州最大、最強の工業国ドイツは、日本のような後進地域への支援はしていません。日本は政府自らが巨額の資金を投じて、アジア各地に工業団地まで造り、日本の製造業の海外移転を積極的に推進してきました。日本国内の雇用を犠牲にするような日本流後進国支援は、アジア各国の工業化、近代化を推進し、経済発展に大きく貢献してきました。

 

 ドイツは後進地域からの移民、難民をどんどん受け入れていますが、当の後進国を近代化させ、工業国家へ転換させるような支援はほとんどしていないのではないか。こういう関係が続くかぎり、移民を送り出す後進国は何時まで経っても移民供給国という惨めな状況から脱出することは不可能です。これはドイツだけではなく、欧米全てに問うべき問題です。ただ、現在のシリア難民については、米ロ対立という外部勢力によって作り出されている側面が非常に大きいのも事実です。しかし、仮にシリアがアジアの後進国のように工業国家へと脱皮し、大国に一方的に蹂躙されないような国力を備えていたならば、現在のような悲惨な紛争は発生しなかったはずです。国力の増強とは、最新鋭の戦闘機や武器を先進国から購入することでは達成されえません。国民生活を含めた国そのもの近代化と、国民を飢えから守りうる経済基盤の構築によって初めて可能になるものです。

 

 トランプ次期大統領は、メキシコをはじめ各地からの不法移民の排除も声高に主張してきましたが、生命維持もままならない貧困層を抱える国からの移民は、仮に万里の長城を築いても阻止することは不可能だと思います。次期大統領にとっては、自殺を余儀なくされるほどに困窮している自国民の救済が最優先課題だろうと思いますし、救済すべきだと思いますが、アメリカの貧困層の救済は、移民阻止のための壁を築いたぐらいでは達成不可能であることも事実です。

 

 移民や難民が増えれば、受け入れ国の国民との間に軋轢が発生するのは不可避ですが、現在の世界の「良識」は、移民排除を口にすれば人間ではないとまでみなされ、移民、難民さま、さまという路線を盲目的に突っ走ています。移民、難民問題の真の解決は、難民、移民の発生源にまで思考の射程を拡げ、発生源を除去する方策を考えることなしにはなしえませんが、おそらく意図的に発生源を覆い隠したまま、移民を受け入れよと叫ぶだけの単細胞的言論が世界中を覆っています。

 

 欧州でも移民や難民によって国民が悲惨な暴力被害に遭っていますが、難民、移民の権利が優先され、自国民に忍耐を求め続けるという信じがたい事態が進行してきました。発生源にフタをしたまま難民、移民の受け入れを推進してきた欧米各国政府は、難民、移民に同情的な人道的立場に立っているとみなされていますが、実はその逆で、自国民を犠牲にしてまで、難民、移民が発生し続ける、世界的規模での格差の固定化を推進してきた勢力にほかならないということです。難民、移民受け入れに批判的な政治的潮流をポピュラリズムという単細胞的言辞で批判する国内外の知識人やマスコミも、こうした勢力の片棒を担いでいるわけです。

 

 トランプ氏は、アメリカ国内外のこうした「良識」を蹴散らしながら、大統領の座を勝ち取ったわけですが、政権人事が身内によって混乱させられているとの報道が届いています。しかも身内の私怨によって、閣僚人事が左右されているという。信じがたくも驚くべき事態です。政権の人事権を身内が握り、政権を私物化するという事例は後進国では珍しくはありませんが、アメリカではほとんど例がないのではないか。「良識」も常識も蹴散らしてきたとはいえ、アメリカを後進国化させてしまっては、「強いアメリカの復活」など夢のまた夢でしょう。

 

 アメリカが韓国のような政治的後進国にならぬように祈るばかりですが、トランプ新大統領の誕生を機に、大統領はもとより、アメリカ国民全員が真に国益にかなう政策は何かを真剣に考えるべきでしょう。学校教育が機能不全に陥っているにもかかわらず、韓国人の主張に従って、従軍慰安婦問題を教科書に採用すべきだという論議がアメリカの教育界では大きな話題になってきました。これはアメリカでは、教育界までもが韓国や中国に従属する事態にまで陥っていたことを示しています。アメリカの政治家はもとより、教育関係者自身も、自国で教育を受けた、自国出身者のアメリカ人学者が一人もノーベル賞を受賞していないという事態には誰も責任も感じていないし、危機感も抱いていないはずです。他国の頭脳に依存するのはアメリカの伝統的手法であり、アメリカではおそらく誰も疑問も危機感も抱いていないはずです。

 

 しかしこのアメリカの伝統的手法は、国が豊かな間は全国民に豊かさをもたらしましたが、危機が深まれば、自国民すら消耗財のごとく使い棄てにするという、現在のアメリカを生み出す胎盤の役割を果たしてきたといえるのではないでしょうか。

 

 自国民を消耗品化しつつある現在のアメリカは、移民、難民問題と密接不可分の問題として今、我々の前に浮上してきています。

 

 なお、日本では安倍政権はTPP成立に猛進していますが、偶々耳にした国会審議で、TTPによって雇用者数も増えるが、その雇用者とは外国人労働者であることが明らかにされています。わたしは思わず我が耳を疑いましたが、間違いなく事実です。要するに、外国人労働者をどんどん受け入れようということです。わたしは基本的には安倍政権を支持してきましたが、この国会審議を聞いて以来、距離を置いています。

 

 また、山本農水大臣の数々の行状、言動は、日本の政治的後進性を象徴しており、暗澹たる気分にさせられています。山本農水大臣は、秘書に残業代を払わずにタダ働きさせた上に、雇用契約書を結ぶことも拒否するという、国会議員にあるまじき仰天の労基法違反を犯しています。

 

 山本大臣は、TTPに関する非常識発言で批判を浴びていますが、その前に、労基法違反の罪を犯した人物が大臣はもとより、国会議員を続ける資格があるのかを問うべきではないかと思います。賃金未払い問題をマスコミに問われた大臣は、その事実を認めた上で、法的には問題はないが、道義的には問題があると思うので、適正に処理したいと答えていました。ご本人の肉声を聞きながら、日本の政治家のレベル低下もここまで来てるのか、との思いに襲われました。

 

 しかも山本大臣は、農協関係者を前に、農水大臣として利益提供の用意のあることを堂々と

表明までしています。政治家が税金を使って利権のやり取りをするのが、日本のごく日常的な政治風土なのかと思わざるをえない発言ですが、こうした政治風土を温存したままでは、不要な事業に国の予算が使われ続け、国の借金が膨張し続けるのも当然です。利権優先で国の予算が使われるという慣習は、欧州ではほとんどないはずです。教育費は大学まで無料、医療費も無料というドイツのように、手厚い社会保障政策を実施しても、国の借金がゼロかゼロに近いのは、政治家や官僚の利権を優先した予算はほとんど行われず、真に必要な国益優先の公共的な事業に投資されてきたからではないかと思われます。

 

 

 

既刊本

 

 

 日本の政治の真の近代化は、まずは山本大臣のような倫理観の完全に欠落した人物を即刻罷免することから始めるべきではないかと思います。日本は、韓国のように大統領をトップに政権ぐるみの腐敗には至っていないのがせめてもの慰めですが、山本大臣のような人物は日本人としては恥かしいの一語です。

 

 トランプ次期大統領との会談を実現さ、プーチン大統領との会談も予定している安倍総理の積極、果敢な外交姿勢には感嘆するとともに、会談の成功を心より祈っておりますが、総理一人が輝いているだけでは政権の維持は困難なはず。日本人として恥だとしか思えないような人物を、なぜ大臣に選ばれたのでしょうか。

  

 なお、昔の丁稚奉公のごとき秘書の酷使は、山本大臣だけが特殊ではなく、永田町ではごく日常的な出来事だとの報道もあるらしい。とするならば、日本の政治の前近代性の温床は、非常に広範囲かつ深くにまで及んでいると言わざるをえません。日本の政治の近代化は並大抵ではなさそうです。(11/20

 

 ページの先頭に戻る。

 

図書出版葦書房  〒811-1355 福岡市南区長丘2−14−16−202 TEL/FAX 092-408-7338
Copyright(C) 2015 Ashishobo, YOSHIKO HISAMOTO All Rights Reserved.