葦書房

葦の葉ブログ



2018/4/18
ホームページビルダーを自己流にカスタマイズ
久本福子

 


1 HP作成ソフトの選択

 コロコロとHPのデザインを変えてきましたが、今回使用したHP作成ソフトのホームページビルダーの使い心地などをご披露したいと思います。今回大幅にHPをリニューアルするに際しては、新しくHP作成ソフトを購入する必要に迫られました。というのは、それまでマイクロソフト社が無料で公開しているExpressin Web4を使っていたのですが、このソフトではゼロからHPを新規作成することができなかったからです。このソフトは、HTMLとCSSがセットになっているWeb作成に関する知識がなければ使えないらしく思われましたので、知識ゼロのド素人でも使えるソフトを探さざるをえなくなりました。

 そこでいろいろ検索したところ、SIRIUSというソフトの評判が他を圧倒していましたが、値段が高いことと、パッケージ版がなくダウンロード版しか販売していないということで、購入をためらっていました。素人にとってはダウンロード版しかないというのは、何かとても不安でした。しかも、WebにはSIRIUSを推奨するHPがいくつも公開されていますが、どれも同じようなデザインばかりです。これも二の足を踏む理由でしたが、最終的には、値段がわたしの許容範囲をかなりオーバーしていることが最大のネックになって、SIRIUSの購入を諦めました。

 次の候補となったのは、名前だけは非常に有名なホームページビルダーですが、Web上には悪評満載です。わたしは今回初めて、Just Systemが販売しているホームページビルダーは、かつてIBMのソフトとして有名であったホームページビルダーの後継であることを知ったのですが、2000年に東京で出版社を開業した時に初めてIBMのホームページビルダーを使い、その威力のすごさに驚嘆した経験からすると、いくら経営主体が変わったとはとはいえ、現在のホームページビルダーがなぜここまで悪評紛々なのか不可解でした。ほんとうに全く使い物にならないぐらいひどいソフトなのか知りたく思い、あれこれ検索していたところホームページビルダーを使って作成したサイトで、実例を示しながら推奨するHPを見つけました。そのサイトを紹介したくて探してみたのですが、なぜか見つかりませんでした。

 ホームページビルダーをけなす人々も、素人でも簡単に使えるソフトであることは認めていますが、商用としては使えず趣味のレベルだという評価を下すことではほぼ共通していました。そんな中で、ホームページビルダーで自ら作成したサイトを、商用として運営しつつ書かれた推奨記事はかなりインパクトがありました。そこでわたしも、値段がSIRIUSのほぼ半額であることから、ホームページビルダー21バリュー版を購入する決断をしました。

2 ホームページビルダーをカスタマイズ

 ホームページビルダー21には、SPとクラシックの2種類のHP作成ソフトがあります。SPは簡単にHPを作成することができる仕組みになっていますが、HTMLソースが表示されない作りになっており、HTMLを操作することができません。わたしのような素人でも、HTML表示機能がないのは非常に不便であることは理解できます。そこでクラッシックを開いたのですが、デザインがどれもわたしの好みには合いませんでした。テンプレートの数が多いと推奨されていたバリュー版を購入したのですが、その甲斐もなかったという印象を受けました。そこで再びSPに戻り、もっともシンプルな下図@のデザインを選びました。

図@ ホームページビルダーSP・テンプレート
 
 
 このままでもシンプルですが、これをさらに下図Aのように自分好みにカスタマイズしました。

図A SPテンプレートのカスタマイズ例


 A図は、@図の模様入りの青色背景図を削除したものですが、HTMLが使えないのはやはり不便です。今回気がついたのですが、SPでも「サイト→サイトのHTML書き出し」という項目があり、HTML表示は可能でした。ただし、作成中のページには表示されず、外部のエディターなどに書き出すような仕組みのようです。その場で作成中のページと対比しながらHTMLが表示されなければ、素人には全く役には立ちません。そこでやむなく再びクラッシックへ戻りましたが、これぞと思うデザインがないという状況には変わりはありはありません。

 悩んでいたところ、「新規作成」の項目表示枠外に「白紙から作成する」という選択肢が小さ目に表示されていることに気がつきました。あれこれ操作していると、この白紙作成を補うような色々なパーツのあることにも気がつきました。HP作成に必要な様々なパーツは、作業画面の左側の「ナビメニュー」にアイコンで一覧表示されています。これらのパーツは種々様々、非常に種類が多く、よほど暇がなければその全てを確認するのは不可能なほどですが、取りあえずHPの骨格を設定するために、「素材集から→スタイリッシュ エフェクト部品→台紙→ページ幅」を選んで下図Bのようなページを作成しました。

図B クラシック・「白紙から作成」例


 実物はすでに公開済みの『火花』と『コンビニ人間』ですが、ホームページビルダーで初めて作成したブログは、このデザインを使った3月5日公開の韓国の桜です。これを機に、Bloggerなどに公開していたブログもこのデザインで統一してまとめて公開しました。ホームページビルダーはAmazonで購入したのですが、3月3日の夕方遅くに着荷。実際の作業は翌4日から開始しましたが、図@からここまでの作業にかかった時間は、韓国の桜の原稿執筆も含めて、約2日でした。マニュアルを読んでいたのでは時間がかかるので、実際に作業しながら、不明なところは「ヘルプ」で検索するという手法で進めました。「ヘルプ」も未だ一部しか見ていませんが、はかなり充実しているように思います。

 ホームページビルダーは、規格通りに作ればスマホ版も同時に作成できますが、規格外の「白紙から作成」ではスマホ版の自動生成はできません。このデザインでもスマホでの閲覧は十分に可能だとは思いますが、クラシック・フルCSSテンプレートに内蔵されているスマホ変換機能を残しつつ、自分好みのデザインにカスタマイズできないかと思案した結果、またもやデザインを変更することにしました。それが図Cですが、これは公開済みの対米貿易摩擦を例にしたものです。

図C クラシック・フルCSSテンプレートカスタマイズ例


 この図Cの元になったテンプレートは下の図Dです。

図D 図Cの原型ークラシック・フルCSSテンプレート


 スッキリ、シンプル化を目指して、次々画像や部品(タグ)を削除していったのですが、削除しすぎて形が総崩れ。慌てて元に戻し、基本的なレイアウトを保持しつつシンプル化を可能にする許容範囲を探りつつ、画像や部品を削除。HTMLやCSSの知識がないので、実地での試行錯誤の連続でしたが、その結果が図Cです。スマホ変換機能も保持。デザイン的にもすっきりしていて、これでよろしいのではないかと思いましたが、一部作業のしにくい部分があり、デザイン変更を思案し、実行しました。それが図Eです。実物は、森友問題の思想的背景です。

図E クラシック・ベーシックテンプレートのカスタマイズ例


 図Eは、画像キャプションにあるように、ホームページビルダーの目玉商品になっているフルCSSテンプレートではなく、簡易型のテンプレートで、「ファイル」を開くと出てきます。このテンプレートを見つけたのが運のつきといった感じで、またもやデザインを新しくしたいとの思いにかられたのも、デザイン変更の一つの動機でした。この元になったのは、下の図Fです。

図F 図Eの原型ークラシック・ベーシックテンプレート


 図Eもデザインはあっさりしているのですが、スマホには対応していないことがネックになって、現在のデザインにまたまた変更。ベーシックテンプレートも、レイアウトを変更しなければ携帯対応ページも同時に作成できますが、Webには上げていませんので、スマホでどう見えるのかは確認しておりません。現在のデザインは図C とほぼ同じですが、図C の一部使いにくさを改良したもので、葦の葉ブログ一覧と基本は同じデザインです。

 なおベーシックテンプレートには「サンプルテンプレートから新規作成」と「簡単ページ作成」の2種類があります。いずれも組み合わせにより、多様なテンプレートが選べるようになっており、テンプレートの種類や数は、フルCSSテンプレートよりはかなり多い。図Fは、「サンプルテンプレートから新規作成」の中から選んだものです。

3 まとめ

 SIRIUSなどの他のソフトは使っていないので、専門ブログのような他との比較検証はできませんが、ホームページビルダーを使った実感からすると、Web上にある悪評はかなり事実から離れているように思われます。商用としては不可欠のSEO対策、集客対策についてはわたしにはほとんど知識がありませんので、この点での評価は別にしての感想です。ホームページビルダーにもSEO対策機能は付いていますが、ソフトによって効果に違いがあるのかどうか、わたしには分かりません。

 ただ、どんなデザインでもいとも簡単に自由自在に作成することができたIBM時代のホームページビルダーに比べると、現在のホームページビルダーにはその自由さはほとんどありません。素人判断ながら、これはおそらく、HTML(HP本体作成機能)とCSS(レイアウトや装飾部作成機能)とが分離されたことと関係しているのかもしれないと推測しています。機能が進化した結果、かえって使いにくくなったソフトには、別分野ながら、弥生会計ソフトがありますが、こうした感想は素人ゆえなのかもしれません。

 メーカーのJUST SYSTEMのサービスの悪さに対する批判もWeb上には満載されていますが、これはわたし自身も一太郎を使った経験から、一部同意せざるをえません。Q&Aにない質問をする場合、有料の電話しかなく、しかもその電話もなかなか繋がらない。やっと繋がったと思うと、電話口で待たされるという経験をさせられ、購入後のサービスの悪さには怒りを覚えました。メールOKだと山のようにメールが送られてくるという場面も想定され、その対応に忙殺される事態を回避しようと電話のみの対応にしたのでしょうが、このアフターサービスの悪さは、改善されるべきだと思います。

 IT関連企業ではメールの受付窓口は不可欠だと思いますが、SIRIUSもメールでの質問は受け付けていないようです。AIを使ってメール対応の省力化はできないのでしょうか。同社に対するもう一つの悪評には、バージョンアップの頻度の高さ(全て有料)がありました。無料ならば大歓迎でしょうが、有料となると、ほどほどにすべきでしょうね。

 以上のような感想も抱きましたが、集中して様々なデザインのHP作成にチャレンジして得た最大の教訓は、スマホがWeb閲覧の主流になりつつある状況下では、デザインに凝ることは余り意味がないということでした。スマホ時代のデザインの要諦は、いかに読みやすい文字で表示できるか、ということに尽きるのではないかと思います。老眼のせいもあり、スマホで長い文章を読むことはほとんどなかったのですが、読みやすい文字で表示されると、スマホの狭い画面でも、長い文章も苦痛なく読めるということにも気づかれました。

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