科学者の色メガネ
(「ブックレット葦」5号より転載)
3月16日にNHKスペシャルで「放射能‘大量放出’の真相」という福島原発事故の検証番組が放映されたそうです。わたしはここ15年余りテレビを見ていませんので、直接番組を見たわけではありませんが、先日、NHKラジオでこの番組のことを知りました。どんな内容だったのかをWEBで調べたところ、概略内容は分かりました。タイトル通り、大量の放射能の放出の謎を解明しようとしたものらしい。わたしは番組も見ておらず、間接的な情報から得た概略的な内容しか知りませんが、おそらくこのNHKスペシャルでも、謎はほとんど解明されていないと思われます。
この番組を紹介したいくつかのWEBブログの内容から推測すると、専
門家の検証を経た結論は、ベントの際、放射性物質を1000分の1まで低減させるフィルターの役目を果たはずの格納容器内の水が、異常な高温で沸騰してしまって、水は水にあらずの状態になり、フィルターの役目を果たすことができなかった。その結果、放射性物質がほとんど除去されぬまま外部に放出されたとのことです。
しかしこれは、事故の実態とは余りにもかけ離れた検証であり、結論です。ベントと大量の放射能放出とは無関係であることは、公的な調査資料にも明記されています。事故を巡る様々な動きと放射能拡散状況とを時系列に沿って検証するならば、両者の間には相関性のないことは素人にも確認することができます。両者の間には因果関係のないことは、それほど明確だということです。
しかしこの番組に限りませんが、専門家は、爆発当時の放射能の拡散状況を時系列に沿って、時間を追ってその変化を詳細に調べようとはしていません。時系列に沿って放射能の拡散状況を調べるならば、ベントや爆発と放射能の大量放出との相関性が検証できますが、ほとんど誰もそこまではやろうとはしない。おそらくNHKスペシャルでも同様であったのだと思われます。
ではなぜ専門家は、放射能拡散の時間変化までは調べようとはしないのか。おそらくそれは、大量の放射能はベントや爆発によって放出されたものだと専門家の多くが信じて疑っていないからです。そう考える専門家にとっては、なぜ、あるいはどのようにして、ベントや爆発時に大量の放射能が放出されたのかという点に焦点を当てて、推論を立てる以外に検証方法の選択はありません。
しかしベントや爆発によっては、大量の放射能は放出されなかったとしたならば、この検証は全く無意味になります。実は、福島原発事故の検証にとっては、ベントや爆発によって大量の放射能が放出されたのかどうか、ここから始めるべき事故であったわけです。しかしこの前提そのものを疑い、検証しようとする専門家は一人もいません。NHKスペシャルも例外ではありません。
当然のことながら、当事者である東電も同じ罠にはまっています。3月29日の朝日新聞に、東電の技術部門トップだという姉川尚史常務への大紙面を使ったインタビュー記事が掲載されていましたが、事故から今日まで、「原発を続ける資格」はあるのかと自ら問い続けてきたという姉川氏も、社外の専門家同様、前提そのものから検証し直すために、ゼロから資料を詳細に検証しようとは考えもしていないようです。
しかし前提そのものを疑い、ベントと放射能拡散状況の時間変化を追っていくならば、ベントによって大量の放射能が放出されたという記録はどこにも存在しないことが明らかとなります。また爆発によって、大量の放射能が放出されたと、日本中が、世界中が信じて疑っていませんが、爆発と放射能放出量の時間変化を調べるならば、原子炉には燃料が入っていない空っぽの4号機の爆発以外には、爆発と放射能放出量とには全く関連性のないことも明らかとなってきます。しかしベントや爆発によって大量の放射能が放出したという大前提が崩れると、原発事故は原子炉そのものの異常に起因する事故ではないということになります。さらに言うならば、人為的な工作によって引き起こされた事故である可能性さえ疑われる事態ともなってきます。
しかし今の日本には、この現実を直視することのできる人は、学者、研究者などの専門家の中にはもとより、政治家にもいません。
わたしは3月に自社葦書房から『原発事故と巨大地震の正体』を出版
しましたが、わたしは本書の中で、公開済みの公的資料を基に、大量の放射能はベントや爆発によるものたという前提そのものを検証をし、ベントや爆発によっては大量の放射能は放出されていないという事実をデータ的に明らかにしております。のみならず、核種の調査によって、福島原発敷地内では全く検出されていない核種が被災地一帯で大量に検出されていることや、原子炉の温度からも原子炉由来の水素爆発は起こっていないということなども、公的なデータを基に明らかにしております。
本書は昨年7月に『総理の乱心―福島原発事故の真相』というタイト
ルで電子書籍として出版したものが基になっておりますが、当初はそのタイトル通り、当時の菅直人総理の振る舞いを、ここでも時系列に沿って詳細に検証しつつ、菅元総理が意図的に原発事故を誘発、拡大させてきたという事実をデータ的に明らかにしております。菅総理の原発事故対応での過剰介入はマスコミでもかなり報道されていましたが、その実態を時間ごとに詳細に調べるならば、菅氏の異常介入は、単に素人ゆえの無知からくるものではなく、原発事故を意図的に誘発することを狙ったものであることが明白になってきます。その事実を明らかにした本書を読むと、思わず背筋が寒くなるはずです。
ただ、電子書籍は有料では売れませず、無料で公開しました。原発事故の真相を一人でも多くの方に知っていただきたかったからですが、その後、新しい事実にも遭遇し、原発事故だけではなく、3.11の巨大地震そのものも人為的に仕掛けられたものであることが判明しました。この驚愕的な事実も公的機関が公開している資料によって明らかにされたものですが、地震の専門家はおそらく誰もこれらの資料は見ていないはずです。地震の専門家も1000年に一度あるかないかというほどの巨大地震であっても、天然自然のものだと信じて疑っていませんので、この大前提を揺るがすようなデータの存在には気づきもしないのでしょう。データが客観的に存在していても、問題意識のないところには、その存在はないにも等しい。これは地震のみならず、原発事故でも同様です。
原発事故のみならず巨大地震までもが人為的な工作によるものであるという事実は、わたしにとっても非常に衝撃的でした。WEBには3.11の巨大地震は地震兵器によるものだという記事が種々公開されています。わたしもあの巨大地震は、発生のタイミングからしてもとても天然自然のものだとは思えないと感じておりました。しかし日本の公的機関でその事実を証明する資料を発見した時には、心底衝撃を受けました。そしてこの事実を一人でも多くの方に伝えたいとの思いから、誰にでも読んでいただける紙の本で出版することにいたしました。巨大地震も人為によるものだという衝撃的な事実も加えましたので、タイトルも変えて『原発事故と巨大地震の正体』とした次第です。
一人でも多くの方にお読みいただきたいと念じておりますが、著名作家の本のように書店店頭で広く販売されるようなものではございませんので、店頭にない場合は書店さんや弊社までご注文ください。書店店頭にない場合はお手許に届くまで少し時間はかかりますが、全国どこの書店さん、どこのオンライン書店さんからでもご注文いただけます。
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