葦の葉ブログ |
2018/5/25
日大アメフト、三題噺
久本福子
日大アメフトの危険タックル問題をめぐって、22日に宮川選手が記者会見を開きましたが、翌日、遅ればせながら、内田前監督と井上コーチも記者会見を開きました。宮川選手は、非常に誠実にかつ理性的に事件の経緯について語り、内田前監督と井上コーチの、関学のQBを潰してこいという指示によって危険タックルに及んだことを明らかにしました。加えて、自分がこの指示を受け入れざるをえない状況に追い込まれていたことも詳細に語っていました。しかし責任は実際にそれを実行した自分にあると明確に断言し、前監督やコーチに対する批判や恨み言は、最後まで一言も口にしませんでした。
20歳の青年のこの潔さにはただただ感服いたしますが、内田前監督と井上コーチは、長時間に及ぶ記者会見を通して、宮川選手が明らかにした事実を否定し、彼個人の判断によるプレーであると主張しつづけ、実質的な責任は選手個人に押しつけるという卑劣極まりない態度に終始しました。二人の指導者による記者会見は、宮川選手の人格的立派さがさらに際立つ結果になっただけでした。内田前監督のみならず、事件発覚後の日大の大学とは思えない無責任で異様な対応ばかりが目立ちますが、日大のアメフト部だけを見ていたのでは、この事件の深層には迫れません。
内田氏は、日本最大の総合大学日大の全教職員の人事件を持つ人事担当の常務理事で、田中英寿理事長に次ぐ日大2の地位にある人物です。内田氏には学術的素養があるとも思われず、人格的にも、二十歳の宮川選手にもはるかに劣るような人物が、医学部を含む総合大学の人事権をもつ常務理事であること自体信じられませんが、日大の副学長もアメフト部の部長です。大育会系が大学の中枢を占めています。それもそのはず。現在、日大を独裁的に支配しているといわれている、田中英寿理事長の経歴と密接に関係しているからです。田中氏は子供の頃から相撲一筋で日大に入学し、アマチュア相撲の王者になり、卒業後は日大相撲部の監督を務め、舞の海などの優秀な力士を育て、相撲界では非常に有名な方のようです。その後さらに出世し、ついに理事長の座に君臨するに至ったという経歴の持ち主です。しかも理事長単独ではなく、夫妻が私的に大学の運営を支配するという構図ができあがっており、今回の事件ではその対応が批判された日大広報部も、理事長夫人が懇意にしている外部の企業に委託しているものだという。問題の本質は「日大の闇」田中理事長夫妻の独裁体制
内田氏はその理事長の側近中の側近として重用されており、事件発覚後に開かれた理事会では、この違法なタックル問題は議題にもならなかったという。信じられませんが、内田氏のみならず田中理事長もこの事件が、社会的指弾を受けるような問題だとは考えていなかったことを意味します。事実、内田氏は同趣旨の持論を記者を前に堂々と話していたことが、文春オンラインに掲載されていました。今週発売の最新号には詳しく報道されるとのこと。日大アメフト部内田監督「14分の自供テープ」を独占公開
仮におかしい、やりすぎだと考える人もいたとしても、理事長の独裁が確立している日大の理事会では、その側近である内田氏の指導を問題視するような発言など、他の理事から出るはずはありません。内田氏は記者会見で、学内に設置された調査委員会の調査が終わるまで、常務理事の職を一時的に停止すると発表しましたが、辞めるとは言っていません。内田氏の、違法(大学設置法違反)行為も辞さないという、人事面でのその辣腕ぶりが理事長の評価をさらに高めているものと思われますので、外部からのよほどの圧力がないかぎり、内田氏の権力は安泰でしょうね。
日大アメフト問題・内田氏についに「常務理事解任要求」が出された「非常勤講師クビきり問題」の責任
以上のように、私学でも日大のように伝統のある大学では本来ならばありえない、理事長夫妻による大学の私物化体制が敷かれている、現在の日大の学内統治の闇からメスを入れないかぎり、この問題の真の解決には至らないと思います。しかも問題は日大アメフト部にはとどまらない拡がりをもっています。
事件発覚後NHKラジオで、相撲解説でおなじみの刈屋富士雄編集委員がこの事件について解説をしていました。一般的には余り馴染みのないアメフトですので、刈谷氏は、このタックルがいかに危険で卑劣なものであるのかを、野球や相撲を例にしながら話していたのですが、大相撲を例にした解説では、土俵を割って負けが確定している相手にさらにダメ押し攻撃を加えることに匹敵するもので、相手にケガをさせたり身体的ダメージを与えるおそれがあり、非常に危険なものであるとを強調していました。と聞けば、即座に白鵬の名前亜が思い浮かびますが、刈谷氏はなぜか、白鵬の名前は口にはしませんでした。
技を超えた暴力的なカチ上げにダメ押し。しかし、アメフトの危険タックル問題から大相撲白鵬の技の危険性と卑劣さを教えてもらうというのは、事の順序からすれば逆だったはずです。白鵬の卑劣な技の数々は、年6回もある場所ごとに、テレビの大画面で毎日放映され、大勢の人々が散々目にしてきた場面たったからです。その都度、相撲ファンや週刊誌やネットメデイアなどでは厳しい批判の声が上がっていましたが、肝心の日本相撲協会が容認しており、既存の主要メディアからも、批判らしい批判報道はなされぬまま、事実上容認されてきました。
なぜ白鵬の暴力は容認されてきたのか。文教族のドンと呼ばれている、日本オリンピック組織委員会委員長である森嘉郎氏は、白鵬の強力な支援者であることはよく知られていますが、元文科大臣の馳浩氏も支援者です。日本相撲協会評議員会議長の池坊保子氏も白鵬の強力な支援者ですが、池坊氏は公明党の国会議員時代には文科副大臣を何年も務めていました。大相撲は文科省の管轄下にありますが、文教族の大物政治家はみな白鵬の暴力を容認しています。考えてみれば、これは余りにも異様なことではないでしょうか。
実はここに日大の田中理事長も腹心の部下大塚学長共々、白鵬の支援者として加わります。というよりも、ご自身がアマチュア相撲の王者であり、優秀な力士を輩出してきた日大相撲部の監督であったことからするならば、田中理事長と大相撲との関係は文教族の政治家以上のものであったはずです。事実田中理事長は、日本オリンピック委員会(JOC)の副委員長まで務めています。白鵬の暴力容認と文科省管轄下の事業に連なる人脈とは、みな繋がっていることが分かります。
こうした異様な文科省人脈下で、日本の国技である大相撲では、白鵬の暴力相撲が容認されてきましたが、NHKテレビが連日放送するその暴力シーンを目にしていると、相手QBを潰せとの指示がなぜ悪いの?という、試合直後に発したという内田前監督の本音は、ある意味当然すぎるほど当然です。大相撲で認められている戦法を、アメフトでも使っただけではないですか。
なぜ大相撲の「危険タックル」は問題にならないのか。白鵬は日本の相撲界から永久追放すべきですね。稀勢の里のケガが何時までも回復しないのも不可解ですね。おまけに同門の高安もケガによる休場が続いています。白鵬は稀勢の里にもカチ上げ攻撃を加えていますが、ケガの箇所を意図的に狙ったのではないかとさえ考えてしまいます。勝つためには何でもアリとの「新ルール」を持ち込んだ白鵬以降の大相撲では、ドーピング検査も実施すべきではないかとさえ思います。
スポーツ界では、「何でもアリ」の、まるでヤクザの世界かと見紛うような動きが続出していますが、田中理事長と暴力団との関係も以前から指摘されてきた問題だという。今朝の「週刊文春」の新聞広告を見ると、田中氏と暴力団との関係も取り上げられているようです。実はこの問題は国会でも一度取り上げられたそうですが、当時の下村文科大臣が、自分が調べると明言したものの、それっきりになっているという。おそらく森嘉郎氏にでも止められたのではないか。野党はこういう問題こそ、徹底的に追求すべきではないか。日大理事長と山口組組長の写真が海外メディアで報じられ、下村文科省が調査を約束
最初にご紹介した問題の本質は「日大の闇」田中理事長夫妻の独裁体制
敬天は襲撃にもめげず、その後も日大田中体制批判を続けていますが、大手メディアの沈黙は、その後の田中氏の出世に大いに貢献したことはいうまでもありません。野党やマスコミはもとより、与党もこういう日本の文部行政を食い物にしている巨悪を排除することにこそ力を注ぐべきではないか。日大には毎年100億円もの助成金が投入されていますが、与党議員はこの巨悪を支援し、「教育、スポーツ、暴力、不正」の一体化現象をもたらしています。
一方、政治の世界では安倍総理が、モリカケ問題で新たな証拠が出てきたにもかかわらず、全否定で切り抜けようとしています。本質をはずれた問題で、安倍総理の違法行為を暴き立てようとした野党のずれすぎた対応に問題があったとはいえ、安倍総理の間接的な関与まで全否定することは物理的に不可能であることは、誰にも否定できません。にもかかわらず、野党の追及の術中に完全にはまってしまい、全否定してしまったことが間違いの元でした。
本来ならば安倍総理は、次のように述べるべきでした。
加計学園獣医学部に関しては、わたしも間接的に関与する結果になったことは否定できません。しかしそれが結果として、50数年誰も開けることのできなかった、中世のギルド以上の排他的な獣医師会の堅い堅い扉をほんの少しにせよ開けることができたことは、日本の未来にとってプラスになることはあってもマイナスになることはありえないと確信しています。野党のみなさんは、わたしのこの判断が間違っており、新規参入者を拒みつづけてきた、獣医師会の扉を開けるべきではなかったとでも言うのでしょうか。
また森友学園問題に関しては、妻の昭恵が名誉校長を引き受けたことから、夫であるわたしの間接的支援を受けたも同然だとの判断は、籠池氏ご本人にはもとより、関係省庁にも生じたであろうことは否定することはできないと思います。しかし、土地の値引交渉そのものに、昭恵が関与したという事実はございません。籠池氏側からは、その旨のご要望を受けたらしいことは、昭恵付きの谷氏のFAXに書かれていた内容から推測することはできますが、このFAXは籠池氏のご要望にはお応えすることはできないというお断りであり、それ以上のものではございません。その後は、このようなやりとりは皆無です。
破格ともいわれている土地の値引きは、あくまでも籠池氏ご本人が財務省と交渉した結果によるものであり、昭恵やわたしが関与した結果によるものではないことは、数々の文書が語ってくれています。
と書いてきたところで、つい最近財務省が公開した森友関連文書を分析した、「本省相談メモ」で森友優遇の実態が明らかに!”安倍夫妻案件”と知った財務省本省が近畿財務局に圧力 を読んだのですが、後が書けなくなってしまいました。籠池氏側の要求を突っぱねてきた近畿理財局が、本省からの指示で突如対応を180度変え、籠池氏にほぼ言いなりの条件で土地を提供する内容に変わっていったことが、はっきりと記録に残されているという。「安倍夫妻案件」というのは、あくまでも著者の推測にすぎないのですが、籠池氏の脅しだけで、これほどの大変化が起こるものなのかどうか。