|
||||||||||||||||||
|
葦の葉通信 36号 2017/10/11 |
|||||||||||||||||
久本福子 1「政治生命をかけた冒険」 2 改憲は米政府からの要請 安倍総理は9月25日に衆議院解散を正式に表明し、10月10日に解散衆院選公示、選挙戦が始まりました。この2週間余りの短期の間に、まるで津波にでもさらわれたかのように、選挙を待たずして、民進党は姿を消してしまいました。その余りにも激しすぎる浮沈のドラマには、この世の無常のようなものさえ感じさせられています。しかし政治を情緒的に語るわけにもいきませんので、現下の政治情勢に貴重なヒントを与えてくれそうな、大半のマスコミが報道しない話題をいくつかご紹介します。 1「政治生命をかけた冒険」 田原氏は、7月に安倍総理と官邸で面談し「政治生命を賭けた冒険をしないか」と提案したそうですが、提案の内容は秘密にされたままこの話は全マスコミが報道しました。どんな提案をしたのか、誰もが興味津々、強い関心を抱いたはずですが、9月15日の日経ビジネスオンライン上で、田原氏自らがその提案の中身と安倍総理の反応などを公表しています。にもかかわらず、大半のマスコミはこれらを全く報道していません。 その内容は、外交による北朝鮮危機回避のための提案でした。安倍総理がトランプ大統領、習近平国家主席、プーチン大統領、文在寅大統領と直接会談し、北朝鮮との話し合い実現のためのギリギリの条件を引き出した上で、北朝鮮を訪問して金正恩書記と会い、話し合いでの解決を実現させようというもので、安倍総理はこの提案には大変乗り気であったという。 安倍総理はこの会談後に内閣改造を行いましたが、田原氏は就任したばかりの河野太郎外相にも会い、この提案をしたところ、河野外相も大いに乗り気で、すぐさま行動に移したという。その経過を以下に引用します。 「日本時間8月17日、日本と米国の外務・防衛閣僚協議「2プラス2」が開かれた。河野外相と小野寺五典防衛相は、ティラーソン国務長官とマティス国防長官と会い、個別会議で先に述べた話を懸命に伝えたという。ところが、ティラーソン氏はその提案を拒否した。」 「河野氏は帰国後、僕に「残念ながら、うまくいかなかった」と報告してくれた。しかし、河野氏と安倍首相は「もう一度、チャレンジする」と述べ、9月下旬の第72回国連総会の前にトランプ大統領と会い、安倍・河野でもう一度話をすると意欲を示した。」 この交渉が成功すれば、安倍総理に対する国内外の評価が一気に高まりますので、総理がこの提案を受け入れ、即行動に移したのは当然といえば当然ですが、初めから軍事力行使しか考えていない好戦的な総理大臣であるかのような報道がつづく中では、安倍総理が北朝鮮との対話再開の可能性を拓くために積極的に動いたという事実は、もっと正当に評価されて大きく報道されるべきだったと思います。 とはいえ、この提案の実現は難しい。「問題は、米国はあくまでも北朝鮮の核兵器放棄を前提とする態度だ。ところが、北朝鮮は核放棄を絶対にしないだろう。」と田原氏も指摘しています。 米にとっての絶対に譲れないとするギリギリの条件が「北朝鮮の核兵器放棄」の一点に絞られると、いかなる外交努力も100%成功しない。過去の歴史が如実にそれを証明しています。 ところで、米国のいかなる脅しにも屈せずに、北朝鮮が核兵器に固執するのはなぜか。田原氏は、その理由についても衝撃的な事実を披露しています。 田原氏は大量破壊兵器を所有していることを理由に、2003年3月、アメリカと有志連合によるイラク爆撃が始まる2ヶ月前に、フセイン大統領にインタビューするためにイラクの首都バクダッドを訪問したという。 しかしCIAに監視されているのを理由に大統領へのインタビューは実現しなかったそうですが、代わりにラマダン副大統領とアジズ副首相に会ことができたという。 田原氏に対してラマダン副大統領は「米国は、我々が大量破壊兵器(核兵器)を持っているとか、アルカイダと深い関係があると主張して攻撃しようとしているが、恐らく本当に攻めてくるだろう。なぜならば、米国は我々が大量破壊兵器を持っていないことを分かっている。もし、我々が本当に大量破壊兵器を持っていたら、米国は攻撃することはない」 公式的には、イラク爆撃後に大量兵器は存在しなかったことが判明したということになっていますが、アメリカは事前にすでにその事実を把握しており、存在しないがゆえにイラク爆撃を実施したという事実は、北朝鮮ならずとも衝撃を受けずにはいられないはずです。田原氏が北朝鮮の核保有を正当化するために話をねつ造したとも思われませんので、事実だと思います。 他にもこの種の話は断片的には伝えられることもありましたが、当時のイラク政府の副大統領、副首相から直接その事実を伝えられたという報道関係者は、田原氏以外にはいないのではないか。田原氏は、当時このインタビュー内容をすぐさま公表したのかどうか、あるいは公表されたが、マスコミが日米両政府の思惑を忖度して報道しなかったのかどうかは不明ですが、わたしはこの日経BPの記事で初めて知り、衝撃を受けています。アメリカは何をしても許されるばかりか、正義だと見なされるという世界の現実。 この事実を知ると、核を放棄すればアメリカにやられるという北朝鮮が抱く恐怖は、妄想ではなく現実そのものであることを納得せざるをえません。当然、核放棄を前提にした対話は100%ありえず、北朝鮮は死んでも核を離さないであろうことも明白です。さりとて核を容認することもできず、残るは制裁圧力、実力行使による排除のみとなりそうですが、核を保有する北朝鮮を軍事的に制圧することは非常に難しい。核保有がアメリカからの攻撃に対する最大の抑止力になるという北朝鮮の主張の正当性を、事実が証明しています。 となると、徹底した兵糧攻めがもっとも確実な圧力になりそうですが、韓国の文在寅大統領が北朝鮮に対する人道支援を表明したり、ロシアが北朝鮮の船舶の寄港を許可し、往来や交易を可能にしたりと、完全な兵糧攻めも難しい。 しかし田原氏が安倍総理に北朝鮮問題の対話による解決に向けて交渉することを提案したのは、間接的なものであれ、北からの何らかの働きかけがあったからだと思われます。北朝鮮としてはなんとしてもアメリカと直接交渉をしたいが、核やミサイルの脅しだけではその糸口はつかめそうもない。そこでトランプ大統領と親しい安倍総理を仲介者に、米政府との直接交渉に持ち込もうとしたのではないか。 しかし安倍総理や河野外相、小野寺防衛相の働きかけも奏功せず、米政府の核放棄という原則はいささかも揺らぎませんでしたが、田原氏からの提案があったからとはいえ、北朝鮮との対話実現のために、総理や閣僚自らが直接動き、これほど尽力した内閣は過去には皆無であったことは事実です。この点は公正に評価すべきだと思います。 安倍総理らの努力の結果、北との対話は、北に対して核の放棄を求めるのではなく、核保有を認めることが絶対的な条件であることが改めて明らかとなったわけです。したがって北朝鮮問題は、北に対して核放棄を求めるのか否か、あるいは核保有を認めるのか否か、どちらなのか。問題の所在を明らかにすることが先決です。この核心部分を曖昧にしたままで対話、対話と叫んでも全く無意味です。 アメリカの核放棄の原則は全く揺らがない。日本はどうか、世界はどうか。核放棄の原則を貫くならば、北との対話は不可能であり、対話によって核を放棄させることは100%ありえない。この現実に立って論議を進めないかぎり、不毛な堂々巡りが続くばかりか、その間、北の核開発はますます進む一方であることも事実が証明しています。では北の核保有を認めたならば、どうなるのか、等々、実のある論議がなされるべきであるのにそうした論議はほとんどない。 安倍総理も北朝鮮との対話を実現するために内閣挙げて尽力したことを国会で報告し、北の核保有を認めていいのかどうかを全国民にあらためて問いかけるべきであったと思いますが、国会を開くと、森友、加計学園問題をめぐる不毛な論議に終始するであろうことも明らかですので、国会での審議に期待できないのは何とも残念です。 2 改憲は米政府からの要請 同じく田原総一朗氏の日経記事「大義なき総選挙 識者に聞く(1)―改憲できない」(9/26)からですが、この中で、田原氏は昨年9月、安倍総理に会ったときの以下のような、驚くべきエピソードを紹介しています。 「実は(衆参で与党の3分の2の確保が確定した)昨年9月に安倍さんに会ったとき、『次は憲法改正だね』と話を向けたことがある。その時、安倍さんは『大きな声では言えないが、憲法を改正する必要がなくなったんですよ』と答えた。集団的自衛権を行使できるようにしたら、米国から防衛面での対米協力要請がピタリと止まったからだと。安倍さんも本音では改憲できる可能性は低いとみているのではないか」 憲法改正はアメリカからの要請であるとの話は、かなり前から世上に流布していましたが、たとえオフレコにせよ、総理大臣自らがそれを認めるような発言をしたのは安倍総理が初めてではないかと思います。これは、安保法制は実質的に改憲の役目を果たしていることを吐露した発言ですが、安倍総理は国会でもこの事実を明らかにすべきではなかったのではないか。この事実を明らかにすると、対米従属だとの批判が沸き上がることは必至でしょうが、日米同盟の実態を明らかにする絶好の機会になったはずです。 日本の安全保障は日米同盟によって維持されている。この点については、全国民は異論なく受け入れているはずです。しかしアメリカ政府からは、従来のように、一方的にアメリカが日本を守るだけではなく、日本も状況に応じて、軍事的にも米軍をサポートすることが可能になるような体制に変えてほしい、つまりはそれを可能とするような改憲要請がなされていることを明らかに、国民に判断を仰ぐべきだったのではないか。 基地を提供し、巨額の思いやり予算を提供するだけでは、日米同盟を維持することが難しくなってきていることが、国民の前に明確に示されるならば、いやでも我々国民も真剣に日本の防衛を考えざるをえなくなります。その際、日本も米軍をサポートする体制をとり、日本の軍事的負担を高めるのであれば、従来のような世界最高額の米軍支援金(思いやり予算)や基地負担の軽減、あるいは日米地位協定の改正なども米側に要求することもセットで考えられるべきであるはずです。しかし安保法制では、日本の軍事的負担が増えただけで、日本はアメリカの隷属国かとの印象を強めた結果になったのは、何とも残念です。 米政府からの要請を国民の前に隠さずに示していたならば、日本側負担の軽減などをめぐっての米政府との交渉も可能であったのではないかと思いますが、安倍政権が好戦的であるがゆえに、自ら進んで安保法制をゴリ押ししたかのような印象しか与えないような事態になってしまいました。安保法制反対か賛成かという議論は日本中を巻き込みましたが、日米同盟を維持するのかどうかという、この問題の核心をめぐる議論は皆無に近い。 安倍総理が軍事的負担を求める米側の要請を国民には全く伝えず、安倍総理個人の願望から発しているかのような形で問題を提起したからです。アメリカ政府に批判が及ばないようにとの配慮からだと思いますが、日本の防衛強化には逆効果です。 その問題提起のあり方は、例えば次のようになるはずです。 安保法制は破棄、改憲もダメとなると、緊密な日米同盟の維持は難しくなる。そこまで要求するのであれば、日米同盟は不要だ。しかも米軍は海でも空でも事故ばかり。日本を守るどころか、日本を危険にさらしているではないか。外からの脅威よりも、米軍の日常的な危険度の方がはるかに高い。米軍は頼みにはならず。では日本の防衛はどうするか。 あるいは日米同盟は日本の安全保障の核心であり、同盟維持は最優先すべきである。そのためには憲法9条を変えざるをえないが、9条のどこをどう変えるべきか、あるいは改正は憲法全体にまで及ぶべきなのか等々、裏事情も全て晒して問題を提示するならば、日本の安全保障や憲法改正の問題が、具体的かつ現実的な問題として全国民の眼前に浮上することになり、誰もが真剣に考えを深める契機となるはずです。 抽象的な領域にとどまっているかぎり、改憲論議も不毛な堂々巡りの論議が続くだけです。 3 小泉元総理と田原総一朗氏 実は田原氏は、安倍総理とは比較にならないぐらい、小泉純一郎元総理と関係が深かったことは話題になったことはありませんが、田原氏は小泉政権の郵政解散に直接的に関与しています。昨年、NHKラジオ2で、田原氏が郵政解散秘話を披露していました。 郵政民営化をめぐっては自民党内では賛否が真っ二つに割れていましたが、田原氏は当時、小泉総理に会い、もし自民党を割る覚悟があるなら全面的に支援すると伝えたという。マスコミの全面支援を受けるとなると、勝利はほぼ100%確実です。小泉氏は、「自民党をぶっ壊す」との大気炎を上げ衆議院解散に踏み切りました。田原氏は自民党を割るならば応援するという自分の提案に対し、「ぶっ壊す」という表現で応えてくれた小泉元総理の反応には賛嘆限りなしといった感じでした。約束どおり、マスコミはこぞって小泉総理を大応援。当然のことながら、小泉元総理は大勝利を収めたばかりか、小泉大フィーバーまで生まれました。 田原氏はこうした顛末を隠すことなく淡々と話していましたが、マスコミの全面支援は、有権者の選択権を奪う、マスコミファシズム状態を生み出しました。しかし、そのことに対する反省の気配すらなかったことには驚きました。しかもこの郵政民営化が何を意味したのか、日本に何をもたらしたのか、あるいは小泉政治が日本に何をもたらしたのかなど、肝心の小泉改革の中身については何一つ語っていません。(参照:小泉内閣の失われた5年) 郵政民営化問題で初めて、日本に対してアメリカからの要望が出される日米合同会議なる超憲法的、超国会的な会議のあることが公になりましたが、ここで米側から郵政民営化の要求が出されていたということでしたので、反対勢力を駆逐して、米政府の要求を100%呑む政権の誕生を画策したのでしょう。田原氏はその仲介役を果たし、マスコミこぞってアメリカ奉仕隊を結成し、見事その目的を完璧すぎるほどに果たしました。 しかし不思議なことに、これほど重大な暴露話なのに、全く話題にすらなっていません。NHKで放送されたぐらいなので田原氏が今さら隠すはずはないはずですが、マスコミと裏取引していたことが分かれば、小泉元総理の評判が悪くなるからでしょうか。 加計学園問題を見ていても、マスコミの超偏向的な報道内容への選択権の行使は、国民の真意とは全く無関係なところで、政権の誕生や転覆を可能にするほどの威力を発揮しています。 4 小泉元総理と原発 希望の党が原発反対で自民党との違いをアピールしていますが、その背後には、原発反対をライフワークにしているらしい小泉元総理の存在があることは周知の事実です。そこで、小泉氏に焦点を当てて検証することにいたします。 小泉元総理は、東日本大震災時の福島原発事故後、突如として反原発を表明し、世間を驚かせました。以降、反原発活動に力を入れているようですが、その活動は被爆したという米兵支援にまで拡大しています。
東日本大震災勃発後、「トモダチ作戦」で支援に入った米軍の兵士たち400人が、福島原発事故によって被爆したとのことで50億ドルもの損害賠償を求めて東電を訴えていますが、(2013年9月、第一次訴訟参加者239人・・・1億4000万ドル要求、2017年8月第二次訴訟参加者157人・・・50億ドル要求)小泉元総理は渡米し、被害者米兵士らの話を聞き、申し訳なさに涙したという。トモダチ作戦での被爆を訴える元米兵と面会した小泉純一郎元首相「素人の私でも病気の原因は放射能だと感じる…」(2016/5/28)
のみならず、被害者兵士らの救援のために基金まで設立したという。アメリカの国防総省の見解も確かめたそうですが、国防総省は米兵らの症状は、福島原発事故が原因ではないと回答したという。日本の外務省にも掛け合ったそうですが、救済はできないと断られたという。経団連にも掛け合ったそうですが、断られたとのこと。そこで、小泉元総理自らが、被爆米兵らの救済基金設立に向けて、寄付を募る活動を開始したという。
小泉純一郎氏、米軍被爆兵士のために基金設立(2016/9/7) この基金設立には、建築家の安藤忠雄氏も賛同しているそうですが、急性被爆症状に見舞われた米兵が多数いる上に、すでに死者まで出ているという。一方、原発が爆発した当の現場にいた福島第一原発(福一)の従業員たちには被爆症状の出た人は皆無です。彼らは原子炉のすぐそばで、普通の作業服で電源復旧作業に従事していました。爆発前から自衛隊も給水支援に現場に入っていましたが、爆発現場にいた数千人にも上る福一関係者や自衛隊には、被爆被害者は一人も出ていません。福一周辺地域にいた住民や自衛隊、警察などでも被爆被害者は出ていません。 なぜ、ドナルド・レーガンの乗組員のみに大量の被爆被害者が発生したのか。小泉氏は日本政府の要請によって、彼らは被災地に救援に出向き、被爆したので日本の責任だと語っていますが、正確にいえば、当時の菅内閣は、発災直後にオバマ大統領直々に支援の申し入れがあったにもかかわらず、現場に米軍が支援に入ることをすぐには許可しませんでした。 中国をはじめ他にも多数支援の申し入れがありましたが、菅政権は米軍同様にすぐには受け入れませんでした。多数寄せられていた海外からの支援申し入れに対して、菅政権は韓国だけに真っ先に受け入れ許可をだしています。韓国軍は発災翌日の12日に被災地に入っています。この時点での海外からの支援部隊は韓国のみです。 米国からは米軍派遣以外でも様々な支援の申し入れがなされていましたが、菅政権はこれらの米国からの支援も当初は無視しつづけていました。米側が日本政府はなぜ支援の申し入れを受けようとしないのか不審と不信を抱きながらも、緊急事態ゆえに腹を立てずに、根気強く支援の申し入れをつづけていましたが、その間の日米とのやりとりが国会事故調の報告書に詳細に収録されています。 国会事故調の聴取で、なぜ米国からの支援の申し入れをすぐにも受け入れなかったのかと質問されて、当時の官房長官であった枝野氏(現立憲民主党党首)は、自力で対処すべきだと考えていたからだと答えています。にもかかわらず菅政権は、韓国だけは即座に無条件で受け入れたのはなぜか。大きな謎です。 トモダチ作戦には5000人近いドナルド・レーガンの乗組員を含めて、2万4000人もの米兵が参加したそうですが、ではなぜドナルド・レーガンの乗組員だけが重篤な被爆被害を受けたのか。被爆米兵が東電提訴理由の第一に挙げている、東電が放射能被害の情報を彼らに伝えなかったことが被爆の最大の原因であるとしていることと密接に関連しています。ドナルド・レーガンは、東電の関知していない放射能によって被曝したということです。東電の関知しないところで発生した放射能に関しては、東電としては情報を提供しようもないかったわけです。 つまりドナルド・レーガンが被爆したのは、福一から発生した放射能によるものではないということです。福一以外のところで発生した放射能であったということ。さらにいうならば、ドナルド・レーガンが停泊していた三陸沖の海洋は、福一とは比較にならないほどの非常に高濃度の放射能に汚染されていたということです。ドナルド・レーガンの乗組員はこの海洋から取水した海水を濾過して、飲用、炊事、シャワー等々に使っていたという。彼らにのみ高濃度な被爆被害が出たのは、彼らが停泊していた海水の放射能汚染が原因であったことは明らかです。 なぜ三陸沖の海洋は高濃度な放射能に汚染されていたのか。いうまでもなく、この海洋で大量の放射性物質を放出する事象が発生したからです。その事象とは、核爆発以外にはありえません。この核爆発によってあの大地震が発生したのですが、米軍の関知しないところでなされた工作であることも、ドナルド・レーガンの被爆が如実に証明しています。では誰が工作したのか。それが最大の問題ですが、即答は難しい。 参照:東電を訴えた米兵はどれほど被ばくしたのか?同行記者の視点 「トモダチ作戦」の悲劇(2017/9/13) 反原発、脱原発もいいですが、その前に3.11をめぐる様々な疑惑を放置したままでは、疑惑隠しになりかねません。まず未だ蓋をされたままのこれら未解明の謎を解くことこそが、日本の真の安全保障につながるはずです。脱原発派は、自然エネルギーへの転換を訴えていますが、南阿蘇にあった風力発電用の風車3基が全て熊本地震で損傷を受け、撤去されました。鬼怒川決壊の大豪雨災害では大規模な太陽光発電パネルが被害を受けていますが、このパネル設置工事が堤防を脆弱化させたとも指摘されています。自然エネルギーは理想のエネルギー源の一つでもありますが、自然相手のエネルギーには、それをサポートする安定したエネルギーとの併用は不可欠です。 原発なしでも確かに不自由なく電気は供給されていますが、電気代は震災前より4割上がっているという。産業用は民生用よりも値上がり幅は大きく、韓国の3倍にまで上がっているという。「Hanada」11月号の「恐るべき暴君 原子力委員会」で、石川迪夫、諸葛宗男、奈良林直、岡本孝司の原子力の専門家4氏が原子力委員会の問題点を遠慮なく指摘しています。 原子力委員会は原子力の専門家を排除して構成されていることは、この委員会を作った民主党政権(責任者:元環境相細野豪志氏)の意向によるものでしたが、今もその姿勢は変わっていないらしい。田中委員長は原子力の専門家ですが、基本は専門家排除ですので、原発審査においても、安全基準もあってなきに等しく、非科科学的な、政治的判断が優先されているという、恐るべき原子力委員会の実態が暴露されています。この政治的判断が、電気代高騰の要因の一つになっているとのこと。原油が高騰すればさらに上がります。 民生用の電気代が上がると、我々の生活に直ひびきますが、産業用の電気代の高騰は、日本経済全体に悪影響を与えます。中国は原発を次々と増設しています。人口が膨大な中国は原発なしには社会の維持は困難だと思われますが、コスト面でも韓国や中国と競わざるをえない日本企業にとっては、電気代の高騰は大きなダメージとなります。 自然エネルギー導入にも力を入れているドイツでは、高騰する電気代対策として、産業用の電気代は税金を投入して民生用よりはかなり低く抑える優遇策をとっています。企業優遇との国民からの批判もあるようですが、高騰する電気代を全て企業に負担させていたのでは、企業活動も危うくなるからです。 日本でも自然エネルギーの導入が進むと、現在よりはさらに電気代が上がることは不可避ですが、その際、税金による電気代補填はありえないでしょう。ましてや産業用への補助など日本ではありえないはず。ドイツとは違い、そもそも日本にはそんな余裕はありません。 直近の問題でいうならば、世界中で電気自動車へのシフトが鮮明になってきています。日本メ
ーカも世界の潮流に乗り遅れまいと、矢継ぎ早にその対策を打ち出し、電気自動車へのシフトを進めつつありますが、日本国内だけはガソリン車を売るということにはならはず。そう遠くない時期に日本でも電気自動車が普及しはじめるであろうことも必至です。当然のことながら、電気使用量も増大しますが、脱原発で増大する電気需要に対応できるのでしょうか。その際、適正な価格で電気を供給しなければ、日本社会の安定的な維持は難しくなるであろうことはいうまでもありません。脱原発派は、以上のような問題をどう考えているのでしょうか。 なお電気自動車普及による電気需要の増大化がもたらす問題点については、偶々目にした「日本時事評論」に書かれていたことを参考にしました。まさに盲点をつく指摘だと、ハッとさせられました。 <<10/14>> 11日に報道された「報道ステーション」で、安倍総理が森友問題に言及した際、籠池前理事長のことを「詐欺を働く人物」と言ったという。わたしはこの番組は見ていませんが、どういう文脈で言ったにせよ、総理自身が籠池氏のことを詐欺師呼ばわりするのは、余りにも筋が違いすぎるのではないか。籠池氏が詐欺師なら総理の昭恵夫人は詐欺師を幇助したことになるわけですが、そういう自覚は皆無のようです。籠池氏を詐欺師だと攻撃することは、総理に対する不信が再燃するだけではありませんか。 安倍総理ご自身には法的に罪を問われるような事実はないにせよ、夫人が強力にコミットしていたことは紛れもない事実です。その中で、森友学園に国有地がタダ同然で譲渡されるという事件が発生したわけです。直接的な働きかけがあったかなかったかとは別に、夫人と親しい籠池氏に、破格の利益供与がなされたという事実は消しようがありません。夫人の直接的な関与はなかったとの検証結果が示されても、この事実に対する国民が抱く不信は、消えることはないはずです。安倍総理はまずこの事実に対し、心底反省すべきではないかと思います。 しかし総理は反省するどころか、籠池氏を「詐欺を働く人物」と呼び、総理や昭恵夫人には全く何の責任もないかのような言い訳をなさるのは余りにも見苦しい。人格そのものが疑われる言動です。加計学園問題でも同様です。直接的な関与はなくても、総理は自分と親しい人々に利益供与をする政治家ではないかとの印象を国民に与えています。マスコミの過剰報道によって作り出された面も強いとはいえ、国民に対しては率直に謝罪する気持ちを持つべきではないかと思います。国会での不毛な論議はもうゴメンだとは思いますが、総理には、「李下に冠を正さず」を口先だけではなく、同様の事態を招かないための指針の一つにしていただきたい。 |
||||||||||||||||||
|
図書出版葦書房 〒811-1355 福岡市南区長丘2−14−16−202 TEL/FAX 092-408-7338
Copyright(C) 2015 Ashishobo, YOSHIKO HISAMOTO All
Rights Reserved.